ブランディングで得られる5つの効果と効果測定に使える指標や方法を解説

ブランディングには、価格競争からの脱却や優秀な人材の獲得など、さまざまな効果があります。
 
適切な指標や方法を用いれば、ブランディングの効果を正確に測定できます。
 
「ブランディングを行うにあたって、効果について詳しく知っておきたい」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
 
今回は、ブランディングで得られる5つの効果と効果測定に使える指標や方法についてまとめました。
 
ブランディング支援に携わる立場から本音で解説します。
 
記事を最後までチェックすれば、ブランディングにどのような効果があるのか、それをどうやって測定すれば良いのかが明確になります。

そもそもブランディングとは?

ブランディングは、英語の「branding」を基にした言葉で「brand」と「ing」を組み合わせたものです。
 
ブランディングは「ブランドとしての価値や印象を形作り、それを伝え続ける活動」を意味します。
 
例えば「落ち着いてコーヒーを飲める場所と言えばスターバックス」と顧客に認識してもらうだけでなく「リラックスしたいときはスターバックスに行こう」と行動に結びつけることが、ブランディングの理想的な結果です。
 
「〇〇といえばこのブランド」と想起される状況を作ることで、競合との直接的な比較や価格競争を避けることが可能です。
 
当社DNARBでは、ブランディングを「選ばれる理由」と「他社との差別化」を両立させる活動と捉えています。
 
一度顧客に選ばれたとしても、他社との差別化ができていなければ、次回以降は他ブランドに流れてしまいます。
 
また差別化が図られていても、選ばれる理由が不十分であれば、顧客には価値として認められません。
 
「選ばれる理由」と「他社との差別化」が両輪として機能してはじめて、ブランディングが成功するのです。

ブランディングで得られる5つの効果

ブランディングで得られる効果は、以下の5つです。
 
  • 価格競争からの脱却
  • 新規顧客の獲得
  • リピーターの獲得獲得
  • ファン度の向上
  • 優秀な人材の確保
 
それぞれ詳しく見てみましょう。
 

価格競争からの脱却

似たような商品・サービスであれば、価格の安い方が選ばれます。価格競争に巻き込まれると、利益を削ってでも値下げをしなければなりません。
 
仮に価格競争に勝てたとしても、疲弊してしまうでしょう。
 
強力なブランドは、価格以外の価値を顧客に提供します。つまりブランディングがうまく行けば、価格競争からの脱却が可能です。
 
顧客はブランドの独自性や品質、信頼性に価値を見出し、多少高価でも選んでもらえます。
 
例えばiPhoneは、他のスマートフォンと比較して高価でありながら、そのデザイン性やユーザー体験、ブランドのステータス性から多くの顧客に支持されています。
 
ブランディングがうまくいけば、価格競争からの脱却が可能です。安定した利益を確保できます。
 

新規顧客の獲得

ブランディングに成功すると、ブランドの認知度が向上します。
 
世の中は、商品やサービスで溢れています。まずは認知して貰わなければ、スタートラインにも立てません。
 
現代人が1日に接する情報の量は、江戸時代の1年分とも言われています。しかし現代人は、その大半を無意識に受け流しています。記憶にすら残っていません。
 
ブランディングがうまくいけば「この商品良いな…」と顧客の記憶に残ります。
 
「そういえばこの商品を買ってみようか」と新規顧客の獲得につながります。
 
ブランディングと新規顧客獲得の関連性について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
 

リピーターの獲得獲得

ブランディングによって一貫した価値や体験を提供すると、顧客はブランドに満足してくれます。ブランドを信頼してくれます。
 
満足感や信頼感が、リピーターの獲得につながるでしょう。
 
例えば無印良品は、シンプルで高品質な商品を提供し続けることで顧客の信頼を獲得し、リピーターを増やしています。
 
人口減少や競合の増加により、新規顧客獲得コストは年々増しています。この傾向は、今後も続くでしょう。
 
そのようななか、コストをかけずに利益を上げる方法として、リピーター戦略は注目を集めています。
 
リピーター獲得にかかるコストは、新規顧客獲得の5分の1と言われるほどです。
 
継続的にブランド価値を提供することで、顧客と長期的な関係を築けます。
 

ファン度の向上

ファン度とは、顧客が特定のブランドに対して持つ愛着や信頼、継続的な購買意欲を指します。
 
例えばテスラのユーザーは、同社の環境志向や革新性に共感し、強い忠誠心を持っています。
 
顧客のファン度上昇による効果は以下のとおりです。
 
  • 顧客がリピーターになる
  • 顧客単価が上がる
  • 口コミで他者に広めてくれる
 
ブランドの価値観やミッションを明確に伝えることで、顧客との深い関係性を築き、競合他社への乗り換えを防げます。
 

優秀な人材の確保

ブランディングの効果は、顧客に対してのみではありません。採用面でも効果があります。
 
ブランディングがうまくいくと、価値観やミッションに共感してくれた人材が集まりやすくなります。優秀な人材の確保に有利になるのです。
 
例えばGoogleは革新性と働きやすい環境で知られ、多くの優秀な人材が応募しています。
 
本来、優秀な人材を確保するには、給与や待遇の改善が欠かせませんが、ブランディングによって「この企業で働きたい」と強く思ってもらうことで、給与や待遇以上の人材を確保できます。
 
優秀な人材の確保は、あらゆる面でプラスに働きます。ブランディング最大の効果と言っても過言ではありません。
 

ブランディングは効果測定が難しい

ブランディングはその性質上、効果測定が難しいと言われています。ブランド価値や顧客の感情的なつながりといった要素が非常に抽象的で、数値化しにくいからです。
 
例えばWeb広告の効果は、クリック数や売上増加などで比較的簡単に測定できます。
 
しかし「ブランドが顧客にどれだけ信頼されているか」「どれほど好感を持たれているか」といった要素は、具体的な指標で評価しにくいです。
 
ブランディングの成果は短期的に現れるものではありません。長期間にわたって徐々に浸透していくものです。よって、効果測定には時間がかかります。
 

ブランディングの効果を正確に測定するコツ

ブランディングの効果を正確に測定するためには、まず目的を明確にすることが重要です。
 
ブランディングのゴールが利益拡大かリピート率向上か、それとも知名度向上なのかによって、評価すべき指標が変わります。
 
目的を具体的に定めることで、適切な効果測定の基準が設定できます。
 
知名度向上を目的とする場合は、純粋想起率やブランド認知率を重視すると良いでしょう。
 
ファン度を高めることが目標であれば、リピート率やNPS(ネットプロモータースコア)などを測定するのが有効です。
 
また、測定期間の設定も欠かせません。
 
ブランディングは長期的な成果を目指す施策なので、短期的な数値だけで判断するのは不十分です。
 
半年、1年といった中長期的なスパンで継続的に測定し、時系列での変化を分析することが求められます。
 
主観的なデータと客観的なデータを組み合わせると、効果測定の精度が向上します。顧客アンケートやSNSの反応などから客観的な評価を収集すると良いでしょう。
 
 

ブランディングの効果測定に使える指標

ブランディングの効果測定に使える主な指標は、以下の5つです。
 
  • 利益率
  • 口コミ
  • リピート率
  • 紹介率
  • LTV(顧客生涯価値)
 
1つずつ詳しく解説します。
 

利益率

利益率は、売上に対する利益の割合を示す指標です。
 
ブランディングがうまくいけば、価格競争に巻き込まれなくなるとお伝えしました。その結果、価格がやや高くても売上が立ち、利益率の向上につながります。
 
ブランディング施策実施前と実施後で、利益率を比較してみると良いでしょう。
 
利益率の計算式は以下のとおりです。
 
💡
利益率 = 売上 ÷ ( 売上 - 費用 )
 

口コミ

口コミは数値では測定できないものの、ブランディングの成果を評価する重要な指標です。
 
レビューサイトやSNSへの投稿などが、口コミにあたります。
 
口コミが増えると、新規顧客獲得や認知度向上につながります。
 
また口コミを分析すれば、顧客がどこに共感し、どこに不満を感じているのかが明らかになるでしょう。
 

リピート率

リピート率は、顧客がどれだけ繰り返し購入しているかを示す指標です。
 
ブランディングに成功すれば、顧客は商品やサービスに満足し、再び選んでくれる可能性が高くなります。その結果リピート率が上昇し、安定した売上を確保できます。
 
リピート率の計算式は、以下のとおりです。
 
💡
一定期間のリピート客数 ÷ 累計新規顧客数 × 100
 
例えば累計新規顧客数が1,000人で、そのうち50人がリピートしてくれた場合の計算式は、以下のとおりです。
 
50 ÷ 1,000 × 100 = 5
 
つまり、リピート率は5%となります。
 
リピート率が高ければ高いほど、顧客との関係性が深く、ブランディングが成功している証拠となります。
 

紹介率

紹介率は、顧客がそのブランドや商品を他者に推奨している割合を示す指標です。ブランディングの影響力を測るうえで効果的です。
 
ブランディングが顧客に深く浸透すると、満足した顧客が自発的に、口コミやSNS投稿でブランドを広めてくれます。
 
これにより、新規顧客の獲得が促進され、広告費を抑えつつ認知度を向上させることができます。
 
紹介率を測定する際には、NPS(ネットプロモータースコア)を活用するのが効果的です。
 
NPSでは「あなたはこのブランドを友人や同僚に勧めたいと思いますか?」といった質問に対する回答を分析し、ブランドの推奨度を数値化します。
 

LTV

LTV(顧客生涯価値)は、一人の顧客が生涯にわたってもたらす収益を示す指標です。
 
ブランディングの長期的な効果を測定するために用いられます。
 
LTVが高いブランドは、顧客から継続的に選ばれ、長期的な収益基盤を築けている証拠です。
 
LTVの計算式は以下のとおりです。
 
💡
平均顧客単価 × 収益率 × 購買頻度 × 継続期間
 
例えばAppleは、高価格帯の製品を複数回購入するロイヤルカスタマーが多く、LTVが高いブランドとして有名です。
 
ブランディングが成功すると、顧客との感情的なつながりが強化され、他ブランドへの乗り換えが抑えられるため、LTVが向上します。
 

ブランディングの効果測定方法

ここでは、ブランディングの効果測定方法を3つ紹介します。
 
  • 顧客情報管理
  • アンケート
  • PL(損益計算書)
 
それぞれ詳しく解説します。
 

顧客情報管理

CRM(顧客関係管理)システムやデータ分析ツールを活用して、顧客の購入履歴、来店頻度、購入金額、問い合わせ履歴などを詳細に記録することで、顧客との関係性を数値的に把握できます。
 
リピーターの割合が増加しているか、新規顧客の獲得が進んでいるかなど、ブランディング施策がもたらす具体的な影響を測定可能です。
 
セグメント別に顧客データを分析することで、特定の施策がどの層に効果的であったかを検証し、次の施策に活用できます。
 
例えば、高単価商品の購入が多いロイヤルカスタマーが増えていれば、ブランディングが顧客の信頼を深めていることが分かります。
 
顧客情報管理を効果的に行うことで、ブランディングの成果を明確にし、戦略の精度を高めることが可能です。
 

アンケート

アンケートは、顧客の主観的な評価を収集し、ブランディングの効果を測定するための方法です。
 
顧客がブランドに対してどのような印象を持っているのか、またその印象が期待する方向性と一致しているかを確認できます。
 
例えば「このブランドを他人に推薦したいと思いますか?」や「ブランドの価値や特長をどのように感じていますか?」といった質問を設定することで、ファン度やブランド認知度の把握が可能です。
 
アンケートは、オンラインフォームや店舗内のQRコード、アプリなどを活用して簡単に実施できます。
 
自由回答欄を設けることで、顧客が感じた課題や改善点を把握することも可能です。
 
顧客の声を直接収集できるアンケートは、ブランディング施策の方向性を修正・最適化するための貴重な情報源となります。
 

PL(損益計算書)

PLは、ブランディングの効果を財務的な観点から測定するための方法です。
 
ブランディングは、中長期的な企業の利益構造改善を目的としています。利益構造を把握するために欠かせない指標は、以下のとおりです。
 
  • 売上高
  • 粗利益
  • 営業利益
  • 純利益 など
 
そしてこれらはすべて、PLにて確認できます。
 
例えばブランディングが成功した場合、顧客単価の向上や販売数量の増加により、売上が増えるでしょう。
 
また価格競争から脱却できるため、粗利益率が高くなるでしょう。
 
ブランディングの中長期的な効果を測定したいのであれば、PLの活用がおすすめです。
 

ブランディングのお悩みはDNARBにご相談ください!

DNARBでは、企業のブランディング支援を行っています。
 
SNSや広告などの手法ありきの施策のみならず、「そもそも何をやるべきか」という戦略・企画から考えます。
 
デザインや見せ方に関するブランディング支援を提供する企業が多いなか、弊社は新しいビジネスモデルやマネタイズポイントを考える点に注力しています。
 
「SNSが良いと聞くからとりあえずSNSをやっておこう」と安易に飛びつくのは、競合他社と同じです。弊社では、ブランドのあり方から考える「DNARBセッション」を実施しています。
 
ブランディングのお悩みは、ぜひDNARBにご相談ください。代表本人がご対応させていただきます。詳しくは以下よりご確認いただけます。
 
 

まとめ

今回は、ブランディングで得られる5つの効果と効果測定に使える指標や方法について解説しました。
 
ブランディングがうまくいくと、本記事で解説したようにさまざまな効果が得られます。
 
価格競争から脱却し、顧客との深い信頼関係を築き、持続可能な成長を実現できます。
 
まずはブランディングの目的や、具体的な施策を決めることが大切です。またブランディングの効果を測定するための指標や、測定方法も欠かせません。
 
ブランディングは短期的な効果を狙うものではなく、企業やブランドが市場で唯一無二の存在として長く愛されるための土台作りです。
 
その重要性を理解し、効果的に実践することで、競争の激しい市場でも選ばれ続けるブランドを構築できるでしょう。
 
ブランディングのお悩みは、ぜひDNARBにご相談ください。詳しくは以下よりご確認いただけます。