ブランディングは必要性ある?目的やメリット、必要ないと言われる理由を解説

99%の企業は、ブランディングが必要です。
ブランディングによって売上の向上や安定が期待できたり、良い人材を採用できたりします。
しかし「ブランディングって言葉をよく聞くけど、本当に必要なの?」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、ブランディングの必要性・目的・メリットをそれぞれ3つずつまとめました。
ブランディング支援に携わる立場から本音で解説します。
記事を最後までチェックすれば、納得感を持ってブランディングに取り組めるようになります。
ブランディングはなぜ必要?3つの必要性を紹介
ブランディングとは「選ばれる違いづくり」です。
偶然選ばれても、違いがなければリピーターにはなりません。他と異なるだけでは、選んでくれるかも分かりません。
「選ばれる」×「違い」の両者を満たすことで、ブランディングはうまくいきます。
ブランディング(=選ばれる違い)が必要である理由は以下の3つです。
- 価格競争から脱却するため
- 認知を向上させるため
- 宣伝コストを抑えられるため
それぞれ詳しく見てみましょう。
価格競争から脱却するため
価格は商品やサービスの最も分かりやすい特徴です。
これといった特徴がない(=ブランディングがうまくいっていない)場合、顧客は価格で商品・サービスを選びます。
よって価格競争に巻き込まれます。
価格競争は不毛な戦いです。消耗戦になり、価格競争に勝てたとしても利益が減ります。
また競合が多い市場では、自社の違い(競合他社との差別化ポイント)を顧客に伝えることが必要です。
ブランディングは、他社にはない価値や魅力を明確にすることで、顧客に選ばれる決め手となります。
選ばれる違いは、解決したい課題・ブランドの立ち位置・アイデンティティの明確化が必要です。
差別化をするからこそ、価格競争からの脱却ができ、リピーターが増え、価格競争からも脱却ができるのです。
例えばスターバックスのコーヒーの価格は、競合他社と比較して高めです。しかし「サードプレイス」というコンセプトがうまく刺さり、高価格でも選ばれるブランドになっています。
自由に使えるお金が比較的少ない学生が、他のカフェではなくスターバックスに行くのもそのためです。
消費者は価格だけでなく、ブランドに対する信頼や独自性、体験を重視します。
ブランディングにおける差別化については、以下の記事をチェックしてみてください。
認知を向上させるため
ブランディングは、商品やサービスを多くの人に知ってもらうための強力な手段です。
人は日々、多くの情報に触れています。現代人が1日に触れる情報の量は、江戸時代の1年分とも言われています。
しかし大半の情報は、人々の記憶に残りません。目に留まることはあっても、すぐに忘れ去られてしまいます。
そんな中ブランディングがうまくいけば、自社の商品やサービスを人々の記憶に残すことが可能です。
一貫性のあるブランドメッセージやデザイン、広告活動を通じて、顧客の記憶に残ります。
認知度が高いブランドは、商品を選ぶ際に「真っ先に思い浮かべる存在」となり、競合他社よりも優先的に選ばれる可能性が高まります。
いくら素晴らしい商品やサービスでも、認知されなければスタートラインにすら立てません。
宣伝コストを抑えられるため
ブランディングができると、宣伝コストを下げることができます。
他のブランドと競争する必要がなくなり、こちらから多大な宣伝をせずとも、顧客から選んでもらえるようになるからです。
さらに会社の理念に共感して、優秀な人材も来てくれるので、採用コストが下がります。
ブランディングに成功すると、顧客はそのブランドを「唯一無二」として認識し、価格や商品スペックを超えた理由で選ぶようになります。
テスラ車オーナーの多くは、価格やデザイン面だけではなく、こういった企業のビジョンに共感して購入を決めているはずです。
選ばれる違いを作るには、解決したい課題・ブランドの立ち位置・アイデンティティの明確化が必要です。
ブランディングにおける差別化については、以下の記事をチェックしてみてください。
ブランディングの目的
続いてブランディングの目的は、以下の3つです。
- 「〇〇と言えば〇〇」という状態を作る
- 市場におけるポジショニングの確立
- 顧客のファン度を向上させる
1つずつ詳しく解説します。
「〇〇と言えば〇〇」という状態を作る
ブランディングの最も重要な目的の一つは、顧客が特定のニーズを感じたときに真っ先にブランドを思い浮かべる「純粋想起」の状態を作ることです。
この状態を実現することで、顧客は他社の商品やサービスを検討すらせず、無意識的にそのブランドを選んでくれるようになります。
例えば、清涼飲料水といえば「コカ・コーラ」、スマートフォンといえば「Apple」といった形です。
複数の選択肢から比較されるよりも、真っ先に思い浮かべてもらえる状態を作る方が、ブランドにとって圧倒的に有利です。
真っ先に想起されるブランドは、他社との競争を避けられるため、結果として集客や売上の増加につながります。
一貫したメッセージの発信や認知度を高めるマーケティング施策を通じて、純粋想起してもらえる状態を構築することが、ブランディングの主な目標の一つです。
市場におけるポジショニングの確立
ポジショニングとは、市場においてブランドがどのような価値や役割を持ち、競合他社とどのように差別化されているかを明確にすることを指します。
ポジショニングと純粋想起は似ていますが、正確には意味が異なります。
純粋想起が「顧客にどうやって認知してもらうか」といったニュアンスの言葉であるのに対し、ポジショニングは「市場での立ち位置」に関する言葉です。
例えば、テスラは「持続可能な未来を推進する高性能な電気自動車」というポジションを築き、他の自動車メーカーとは異なる価値を顧客に提供しています。
ブランディングは、競争が激しい市場で独自のポジションを確立するために必要です。
ポジショニングを確立することで、ブランドはターゲット顧客にとって特別な存在となり、価格競争に巻き込まれるリスクを回避しながら市場での優位性を確保できます。
顧客のファン度を向上させる
顧客に単なる購入者を超えた「ファン」になってもらうことも、ブランディングの重要な目的です。
ファンは、ブランドに対して感情的なつながりを感じてくれたり、共感を抱いてくれたりします。よって競合他社に乗り換える可能性は低いと言えるでしょう。
それどころかリピート購入や口コミを通じて、ブランドの成長を支えてくれます。
例えばナイキは「Just Do It.」というメッセージを通じて、挑戦を続ける顧客を応援し、ブランドと顧客の感情的なつながりを深めています。
今後日本では、人口減少や競合の増加によって、新規顧客獲得にかかるコストは増加し続けると言われています。
新規顧客獲得にはリピーター獲得の5倍ものコストがかかるといったデータもあるほどです。
ファン度が高い顧客を増やすことで、ブランドは長期的な収益基盤を強化し、持続的な成長を実現できます。
ブランディングのメリット
ブランディングの主なメリットは、以下の3つです。
- 支出を抑えられる
- 利益が増える&安定する
- 良い人材が来てくれる
各項目について詳しく見てみましょう。
支出を抑えられる
ブランディングが成功すると、長期的に広告費を削減できます。
一度認知されたブランドは自然と顧客の記憶に残るため、新規顧客やリピーターの獲得に大規模な広告を必要としなくなるからです。
例えば、ブランディングの成功事例としてよく挙げられるスターバックスは、テレビCMなどの広告費をほとんどかけていないことで有名です。
ブランディングがうまくいくと口コミやSNS投稿が増え、広告を打たずとも無料で広範囲に宣伝効果をもたらします。
支出を抑えられれば、他の施策に予算を回せます。
利益が増える&安定する
顧客がブランドに価値を感じると、価格ではなくその価値を基準に商品やサービスを選ぶようになります。
そのため価格競争に巻き込まれにくくなり、利益率が向上します。
価格競争に巻き込まれた商品が売れるのと、そうではない商品が売れるのとでは、後者の方が利益率が高くなるのは言うまでもありません。
ブランディングにはリピーターを増やし、LTV(顧客生涯価値)を向上させる効果があります。
例えばAppleは高価格帯の商品でも、ブランドの信頼性と価値を理由に選ばれ、安定した収益を上げています。
iPhoneよりも価格の安いスマートフォンはいくらでもあります。しかしそれでも、毎回iPhoneを選ぶ方は多いです。ノートパソコンのMacBookに対しても同じことが言えます。
リピーターのみならず、新規顧客の集客効果アップも、利益に対して良い影響をもたらします。新規顧客の集客についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
良い人材が来てくれる
ブランディングが成功すると、企業やブランドに共感する優秀な人材が集まりやすくなります。
一方でブランディングがうまくいかないと、給与や福利厚生などの条件だけで比較されてしまいます。
ブランドへの共感がない状態で、給与や福利厚生だけを見て入社した社員は、会社へのコミットメントが上がりづらく、退職などのリスクも高まります。
ブランドに共感して入社した人材は、愛着と誇りを持って仕事をしてくれます。高いモチベーションと忠誠心を持ち、企業の成長に大きく貢献してくれるでしょう。
スターバックスの店員に対して「他のカフェよりもやる気に満ち溢れていてサービスが素晴らしいな」といった印象を抱く方も多いのではないでしょうか。
またディズニーランドのスタッフに対して「こんなにモチベーション高く働いていてすごいな」といった印象を抱く方も多いのではないでしょうか。
これはスターバックスやディズニーランドの考え方(ブランド・理念)に共感した従業員が集まっていることが起因しています。
良い人材の獲得は、ブランディングにおける最大のメリットと言っても過言ではありません。
良い人材が集まることで、顧客体験の向上やブランド価値のさらなる強化が可能になり、あらゆる面で良いサイクルが生まれます。
ブランディングのメリット・効果については、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:ブランディングで得られる5つの効果と効果測定に使える指標や方法を解説
ブランディングの必要性が低い企業
ブランディングの必要性が低い企業は、以下の2つです。
- 大手企業の子会社で販売先が親会社の企業
- 中長期的な視点に興味がない企業
それぞれ詳しく解説します。
大手企業の子会社で販売先が親会社の企業
大手企業の子会社で、主な販売先が親会社に限定されている場合、ブランディングの必要性はありません。
ブランドの認知向上が直接的な成果に結びつかないからです。
親会社向けに部品供給を行う製造子会社は、技術力や納期遵守といった実績が評価されれば十分です。
一般消費者向けにブランド価値を訴求する必要はほとんどありません。
こういったケースにおいては、コストをかけてブランディングを行うよりも、製品の品質向上や業務効率化に注力するほうが合理的です。
中長期的な視点に興味がない企業
中長期的な視点を持たない企業、例えば短期的な利益確保や市場での一時的な需要を満たすことを優先する企業は、ブランディングの必要性が高くありません。
なぜなら、ブランド作りには中長期的な視点が必要だからです。ブランドのイメージは、企業の発信などを通じて徐々に浸透していきます。
短期間でのブランディングは、不可能と言っても良いでしょう。
短期的な利益の確保には、ブランディングよりもWeb広告のような施策が向いています。
しかし、短期的なアプローチは一時的な効果しか生みません。競争が激化した際に耐えられないかもしれません。ファンの獲得が難しくなるリスクもあるでしょう。
よって、短期的な視点だけで利益を確保しようとする方法はあまりおすすめできません。ブランディングを用いた、中長期的な視点を持ちましょう。
ブランディングのお悩みはDNARBにご相談ください!
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SNSや広告などの手法ありきの施策ではなく「そもそも何をやるべきか」という戦略・企画から考えます。
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まとめ
本記事では、ブランディングの必要性・目的・メリットをそれぞれ3つずつ紹介しました。
ブランディングがうまくいけば、競争を避けられます。より多くの人に認知してもらえます。そして、良い人材の確保にもつながります。
大半の企業にとって、ブランディングは必要です。
しかし、自力でのブランディングは容易ではありません。SNSやWeb広告の運用など、形だけになって諦めてしまう企業も少なくありません。
ブランディングのお悩みは、ぜひDNARBにご相談ください。詳しくは以下よりご確認いただけます。