ファンに愛される会社の作り方

1. なぜリピーター戦略にブランドが不可欠なのか
新規顧客を獲得するためのコストは、年々高まっています。広告費を投じ、キャンペーンを仕掛けても、一度きりの購入で離れてしまえば、その投資はすぐに消えてしまうでしょう。
一方で、何度も戻ってきてくれる顧客は、企業にとって揺るぎない支えになります。彼らは購入頻度が高く、自然と口コミで周囲を巻き込み、新たな顧客を呼び込む。こうして安定した売上の土台が築かれます。
しかし、単に商品の質が高いだけでは十分ではありません。価格や利便性だけで選ばれた顧客は、より条件の良い競合へと移ってしまいます。
そこで鍵になるのが、DNARBが大切にしている「選ばれる違い」と「愛着」です。愛着とは、単なる好感ではなく、「このブランドだからこそ」という固有の意味を伴ったつながり。その絆があってこそ、長期的な関係は育まれます。
2. リピーターを生むブランドの条件
- 一貫した価値提供と体験の継続どの店舗、どの接点でも「同じ価値観」に基づいた体験が得られること。
- 顧客の中に “自分ごと化” される意味のある違い商品やサービスが「自分の暮らしや価値観の一部」になること。
- ブランドは “見せ方” ではなく “あり方” で信頼を育てる表面的な演出ではなく、理念や行動の一貫性が信頼を生む。
- 社員の愛着が顧客体験に反映される社員自身が誇りを持ち、その想いが顧客との接点で伝わる構造。
こうした条件が揃うと、ブランドは単なる選択肢から「かけがえのない存在」へと変わっていきます。
3. 事例紹介(参考事例)
茅乃舎(かやのや)は、健康志向と本物志向を両立させながら成長してきました。
店舗では、通信販売だけでは味わえない試食やレシピの提案を通じて、家庭の食卓に “小さな物語” を届けています。また、地域に根ざした店舗では、だし料理教室や味噌づくり教室といった催しも行われ、味わい以上の体験が顧客の記憶に残ります。
中川政七商店は、「日本の工芸を元気にする」という使命を掲げ、伝統の技と日常雑貨を融合させました。
人気商品の「花ふきん」は、かつて奈良の一大産業であった蚊帳(かや)の生地を活用し、地域の歴史や職人の技を現代の暮らしに息づかせています。吸水性や速乾性といった機能性に加え、手に取るたびに奈良の風土や文化を感じられることが、再び選ばれる理由になっています。
さらに、自社開発の顧客分析ツールを用い、どの接点でも同じ世界観を感じられるブランド体験を設計。結果として、高い再購入率と熱量のあるファン層を育てています。
(参照元:https://www.nakagawa-masashichi.jp/company/press/2022/10/000191.html/https://webtan.impress.co.jp/e/2025/05/22/49022)
ファンを育てることは、決して偶然には起こりません。まず、ブランドが向き合うべき「敵」を明確にすることから始まります。茅乃舎にとっては化学調味料依存、中川政七商店にとっては伝統工芸の衰退。それらは単なる商機ではなく、ブランドの存在理由そのものです。
4. ファンに愛される会社を作るためのプロセス
DNARBが提案するのは、短期施策ではなく「愛着を育てるための導線設計」です。
- 敵(課題)を定義する例えば、化学調味料依存や伝統工芸の衰退といった社会的課題をブランドの敵として掲げる。
- ブランドの軸を明確にするミッション・ビジョン・コンセプトを一貫させ、意思決定の基準にする。
- 顧客体験の中に愛着が生まれる瞬間を組み込む購入後の提案や、使うたびに思い出が積み重なる仕組みを設計する。
- 社員が誇りを持てる環境を育てる社員がブランドの一部として顧客に価値を届けられる状態を作る。
- 短期利益より長期信頼を優先する価格や流行ではなく、理念に沿った行動を続ける。
短期的な売上を追うよりも、長期的な信頼を優先する。この順番を守ることで、顧客はブランドに寄り添い続け、企業は “愛着を資産にする” ことができます。
おわりに:あなたの会社は、顧客に「また会いたい」と思われているか?
リピーターは偶然の産物ではありません。それは、理念と一貫性を持った日々のふるまいによって、意図的に育てられる関係です。
ブランドは「買った瞬間」に生まれるのではなく、その前後に積み重ねられる体験の中で形づくられます。
あなたの会社は、顧客に「また会いたい」と思われているでしょうか。
その問いに向き合うことが、ファンに愛されるブランドづくりの第一歩です。
DNARBでは、リピーターづくりを単なる販促ではなく、“愛着が生まれる導線設計”として経営に組み込む支援を行っています。